東京手描友禅について 本文へジャンプ
Ver.22.10.29




彩色筆による友禅の色挿し作業です。
筆先運びで色合調整します。







刷毛使用の友禅の色挿し作業です。
刷毛の先に濃色を含ませ、花びらに濃淡をつけます。
◆東京手描友禅は、経済産業大臣指定(昭和55年3月3日)・伝統的工芸品、東京都知事指定(昭和57年12月24日)・伝統工芸品、地域ブランド登録商標(申請予定)・東京手描友禅に認定されています。

◆手描友禅は、江戸時代(1685年頃)に京都の扇絵師であった「宮崎友禅斎」によって創出された染色技法のひとつで、江戸に伝わると江戸時代後半の華やかな文化に育まれて洗練され垢ぬけした庶民文化の中に江戸の友禅として発展しました。
今日では日本の三大友禅として、金沢の加賀友禅や京都の京友禅と並んで東京手描友禅として江戸の粋(いき)を現代に伝え、その洗練された都会的なセンスの模様と配色は、日本国内だけではなく海外からも高い評価を得ています。
手描友禅は友禅染め本来の技法で、型紙を用いずに下絵から色挿し、仕上げまでの工程を手描きによって染付けされます。
手描友禅の工程では、往時より「江戸友禅」として普及した手順に沿って工程を解説しています。

手描友禅の工程は、東京、金沢、京都を比較しても、それほどの違いはありませんが、配色、色遣いと言った技法的な違いが、それぞれの産地の特徴を産み出しています。
手描友禅の技法には、各地で培われて来た様々な伝承技法がありますので、一概に染め方を定義付けすることには無理を生じてしまいます。
明治以降、材料も技術も飛躍的に進歩し、今日では染料も化学染料が主流となっています。
糸目糊に植物性の真糊ではなく、ゴム糊やワックス糊が多く用いられるようになり、地色を先に染めてから友禅の色挿しをするようになって来ました。
作業工程の効率化と配色の容易さ等々が要因のようです。

絹織物を主に天然繊維を素材として、染色技術を駆使して手描友禅を染め上げるという基本的なイデアは脈々と受け継がれています。
この工程解説では、ゴム糸目糊を用いていますが、地色を先に染める「先伏せ」ではなく、元来の地色を後に染める「後伏せ」の工程で紹介しています。

◆江戸友禅と言う呼び名は、現在でも東京で制作された手描友禅に広く使われていますが、通商産業大臣(現、経済産業大臣)指定の伝統的工芸品となってからは、「東京手描友禅」が公的な正式名称となっています。
一般的には、東京友禅、江戸友禅という呼び方がなじみやすいようです。
技法面でも江戸友禅に蘊蓄を傾ける向きがありますが、こうでなければならないと言った定義付けはありません。
庶民文化に育まれて成長を遂げた江戸・東京の手描友禅としてこれからも時代と共に変遷をして成熟していくものと考えます。