手描友禅の工程 本文へジャンプ








ここでは「東京手描友禅」に
おける_糸目糊を使用した技法_の工程について紹介しています。
手描き友禅の標準的な工程を写真に説明を添えて,理解しやすいようにひとつのページにまとめていますので画面をスクロールしながらご覧願います。



















































































































































































































































































































































































































Ver.25.11.20

ここでは「東京手描友禅」における_糸目糊を使用した技法_の工程について紹介しています。

  この他にも無線描の友禅やロウケツ(昴秩jによる友禅の技法があります。
◆構想・図案_着る人の年齢、体型、用途(時期、場所、目的)を考慮して、模様を雛形(ひいながた)に図案として描きます。

※なお、工程によっては、対象の振り袖以外の画像を掲載して説明している場面があります。
◆絹生地の選定_模様や用途を踏まえて、着る人の意向も考慮に入れて正絹生地の選定をします。
◆下絵_下絵描きには、露草の一種「大帽子花(おおぼうしばな)の絞り汁を和紙に浸み込ませた青花紙(あおばなし)に水を含ませ、青花液として用います。
◆下絵筆は、線種によって使い分けをしますが、筆先の材質には動物の毛が使われています。
骨描筆などの筆意を付け易い筆を用います。
面相筆などは細い線描には適していますが、
長い多くの線を描く下絵には向いていません。
◆水に浸した青花紙の青花液は、アントシアンと言う色素で水溶性です
和紙に浸み込ませた青花液を少量の水滴で戻して筆の先に含ませて線描をします。
◆白生地を文鎮などで平滑に保ち歪みの生じないように慎重に筆を運びます。
筆先をどちらの方向へも運べるように筆はなるべく垂直にして、肘は浮かせて運筆をします。
◆糊置き(いとめのりおき)_青花液で描かれた線に沿って糸目糊を置いていきます。
柿渋を塗って貼り合わせた和紙で作った筒の先に真鍮製の口金を着けて、下絵の線に忠実に糊置きします。
◆疋田糊(ひった糊)と言って鹿の子絞りの染めのような仕上がり具合になります。
型による摺り疋田に対峙して置き疋田、糊疋田(のりひった)とも言われています。
◆地入れ(じいれ)_生地の両端を張り手に挟んで張り伸ばし、豆汁(ごじる)、真布海苔(まふのり)の溶液を刷毛引き塗布します。大豆蛋白を生地に含ませることで、染色後の蒸気加熱処理で、絹地の動物蛋白と相まって、染料の生地への定着を助長します。
◆地入れでは糸目糊が生地の裏までしっかりと抜けていることを確認し、糸目糊の周りなどに青花液の残留や地入れ液の溜まりなどがないように刷毛を繰り返し入れます。
◆地入れ後、友禅挿しの前段階の伸子(しんし)掛けをします。
生地を太鼓張りにして、しわやつれのないように調整します。
◆襷(たすき)状に掛けられた大張り伸子です。
真横に掛ける伸子は、小張り伸子、間張り伸子と呼ばれています。
◆友禅挿しには筆と刷毛を使い分けします。
片羽刷毛(かたは)は刷毛先に傾斜があって、主にボカシの色挿しをするのに用います。
平羽刷毛(ひらは)は、主に単色の平坦な色挿しをするのに用います。
◆友禅机には、ヒーターが取り付けられていますが、乾かす目的より染料の染込みを最適に促すのが役目です。
机上の雑巾は、その扱い方を見れば技量が判ると言われています。
座机、椅子机、立机枠等々作業机は職人それぞれの好みで選んでいます
◆絵の具雑巾は地味な存在ですが、必要不可欠なものです。
刷毛や筆先を整えたり、染料の含ませ具合を調整するのに大切な道具のひとつです。
◆友禅挿しには筆と刷毛を使い分けします。
片羽刷毛(かたは)は刷毛先に傾斜があって、主にボカシの色挿しをするのに用います。
平羽刷毛(ひらは)は、主に単色の平坦な色挿しをするのに用います。
◆片羽刷毛を使っての友禅挿しのようすです。
薄い色を含ませた刷毛の先端に濃い色を含ませて、牡丹の花びらに濃淡を付けています。
◆色合せをした染料は、彩色の手順に沿って並べます。
12〜16色位を基準色に派生する色数は数十色になります。色挿し作業中は、染料の濃度管理に気を配り、適宜に水滴で補水をします。

配色を決めて一色ずつ基準色に使う染料の色合せ(混色)をします。
◆友禅挿しでは鮮やかな色を落ち着かせるのに黒ではなく補色対比の色を用いますが、これを「色を錆させる」と言います。
また、淡薄色に胡粉を混ぜてボリューム感のあるパステルの色調にする方法がありますが、これを「色に具を付ける」と言います。
その他、天然顔料を混ぜて艶消しの重厚感を醸し出す方法もあります。

◆下図におおまかな着彩をして、配色の調子を見ることもあります。
染料は生地の種類により発色の具合が微妙に異なるので、染料濃度の調整や混色には充分な配慮が必要です。
◆手描友禅の色挿し作業を「友禅挿し(ゆうぜんさし)」と言います。
色を塗るのではなく挿すと表現するのは染料を染み込ませることによります。
刷毛や筆先から染料が生地に染み込むのを見極めながら、手返し好くムラの生じないように筆を運びます。

友禅挿しは、指先や手首に頼ることなく腕全体での柔らかな筆運びが必要です。
◆筆先から染料が生地に染み込むようすです。
友禅の彩色は、色を塗るのではなく挿すと表現するのは、このように染料を染み込ませることによります。
◆伏せ糊置き_色挿しされた模様を厚く
糊伏せ(マスキング)します

はじめに模様の縁取りをしながら糊を置きます。
糊の中に空気の泡が入らないように生地に糊を置いていきます。
◆糊筒先の口金を縁くくりを廻す時とべたにつぶす時では、大小使い分けをして、気泡が生じたり伏せ残しやはみ出しのないように作業します。
◆糊伏せした上に米ぬかをふり表面を覆い落ち着かせます。
地色を染めるときに不用意に伏せ糊が崩れないようにするのと防染の役目があります。
◆引き染め(引染、ひきぞめ)_刷毛引きで地色を染める作業です。絹布の場合は、直接染料、酸性染料を主に用いて染めます。
◆裏からも模様を避けながら丁寧に刷毛を返し、手際好く染料を生地に均一に染み込ませます。
◆引き染め工場は、直射日光の影響や周壁の色反射を防ぐように工夫がなされています。
◆蒸し(むし)_蒸しは引き染め乾燥後に高温の蒸気で染料を定着させる工程で、生地に含まれる蛋白質成分が凝固し染料を発色定着させます。
◆水もと_蒸しの後、水槽に漬け込み、糊が緩く溶解してから、余分な染料や不純物と共に洗い流します。
◆水の中に見る友禅模様は深色効果もあって、ひときわ美しく見る眼を引きます。
◆仕上げ_本金箔による砂子蒔の様子です。仕上げには摺箔や刺繍の他にも様々で、それぞれ用途に応じた加工を施します。
◆湯のし_湯のしは、生地の巾や丈を整える作業で、白生地の段階を「下湯のし」仕上げの段階を「上湯のし」と言います。

◆同じ部分を工程の段階で見比べたようすです。


下図段階での牡丹つぼみ、図案紙に墨の線で描いてあります。

◆友禅色挿し段階の同じ部分、糸目糊が置かれています。
◆染め上がり、糸目糊が洗い落とされると白い輪郭線となります。
下絵の線に沿って置かれた糊の線が染め上がると糸のように白く仕上がって見えるることから、糸目友禅と言われています。
仕立て上げてモデルさんに着付けをしました。
染色工程のビデオ記録するために制作をした振り袖なので模様が大きく、柄の配置も
大胆なので、着こなせるモデルさんに巡り逢うまでひと苦労でした。
ちょうど成人式を迎えるとのことで相互によろこびを分かち合えました。